公営ギャンブルの売上を比較してランキングにしました。また、各公営競技の過去の売上推移や、競技場ごとの売上ランキングもまとめています。
公営ギャンブルの売上比較ランキング
公営ギャンブルの売上を比較して、多い順に並べました。現在公開されている2022年度(令和4年)の最新数値で比較しています。
公営競技 | 売上 | 前年比 | 参考資料 |
---|---|---|---|
中央競馬 | 3兆2539億円 | 105.30% | JRA |
競艇 | 2兆4142億円 | 100.90% | 全国モーターボート競争施行者協議会 |
競輪 | 1兆907億円 | 113.07% | 公営財団法人JKA |
地方競馬 | 1兆703億円 | 107.80% | 地方競馬全国協会 |
オートレース | 1075億円 | 104.10% | 産経新聞 |
パチンコ | 2兆5802億円 | 102.30% | 経済産業省 |
宝くじ | 8133億円 (2021年度) | 99.66% | 宝くじ公式サイト |
※公営競技の公式団体の発表や、新聞社の公開データを参考
※宝くじの2022年度の情報はまだ公開されていないので、2021年度分
中央競馬と地方競馬は、主催する管轄団体が違うので、分けて紹介しています。
また、パチンコと宝くじは、厳密には公営ギャンブルではないですが、比較として含めています。
すべての公営ギャンブルで売上が伸びています。特に、地方競馬・競輪では1兆円の大台に乗りました。
公営ギャンブルの売上が伸びている理由
公営ギャンブルの売上が伸びている理由は、大きく3つあります。
売上増加の理由
- コロナ禍による巣ごもり生活が追い風になった
- ネットや電話での投票システムの普及
- CMやホームページなどでの広報活動の成功
売上増加の理由1.
コロナ禍による巣ごもり生活が追い風になった
1つ目は、コロナ禍による巣ごもり生活が追い風になったことです。
2020年3月頃は、イベント自粛の流れのため、一時的に売上が下がりました。しかし、その後2ヶ月ほどで、公営ギャンブル全体の売上が以前よりはるかに増加しました。
出典:経済産業省
巣ごもり生活により、ネットでの投票が普及し、業界の追い風になったと考えられます。
実際、中央競馬(JRA)の売上増加は、ネット投票の急増によるものでした。
新型コロナウイルスの感染対策で、場外馬券売り場「ウインズ」を休止したことなどが影響し、現金での馬券発売額は前年比25%の2174億円に急減したが、ネットでの発売額は前年から36%増加。2兆7753億円となった。
引用:朝日新聞|JRAネット会員、コロナで急増
売上増加の理由2.
ネットや電話での投票システムの普及
2つ目の要因は、各公営ギャンブルの団体が、ネットや電話などで、手軽に投票できるシステムを導入していたことです。
実は、公営ギャンブルの売上増加は、コロナ禍がはじまるだいぶ前からすでにはじまっていました。
コロナ禍の巣篭もり需要という評価が誤りというわけではないが、そもそも近年はネット投票の普及が進み、どの公営競技も売り上げは上昇傾向であった。
JRAの場合も平成24年に2兆3943億だった発売金から前年比プラスが続き、プラスは令和2年まで連続9年目で継続中
引用:日刊SPA!|公営競技売り上げ爆増の理由はコロナ禍だけじゃなかった
2020年、無観客開催や場外販売場の発売停止を余儀なくされながらも好調だった理由としては、まず、競艇に限らずこれらの競技全てが、元々電話・インターネット投票を積極的に導入していたことが考えられます。
引用:経済産業省|近年最高の活況となった2020年の「競輪・競馬等の競走場,競技団」
場所や時間にとらわれずに投票できる基盤を整えていたからこそ、今回の売上急増につながったと考えられます。
公営ギャンブルのネット投票サイトについて解説します。競馬、競輪、競艇、オートレースなどの公営競技でおすすめのネット投票サイトはどこなのか?お得に投票できるのか?をそれぞれ比較します。 ネット投票をしたい人は参考にしてください。 […]
売上増加の理由3.
CMやホームページなどでの広報活動の成功
また、各公営ギャンブルの広報活動により、若者や女性も楽しめる競技というイメージアップに成功したことも、売上増加の要因の1つになりそうです。
- 魅力的なCMの放送
- 女性選手の積極的採用
- 女子リーグの開催
- 芸人やタレントを起用したYouTube番組
- 子どもが楽しめる施設を併設した競技場
CM、ホームページ等での活発な広報宣伝活動や、若年層にも好感を持たれるような「ボートレース」への呼称変更、モーニング、ナイター等の時間差レースの充実、約9割の競走場で導入されているキャッシュレス投票など、従前から顧客層や利用機会の拡大に積極的に取り組み、成果を上げていたことも、さらに急上昇した要因かもしれません。
経済産業省|近年最高の活況となった2020年の「競輪・競馬等の競走場,競技団」
以上3つが、公営ギャンブルの売上増加の要因といえます。
それを裏付けるように、パチンコでは、売上減少が続いています。
パチンコは売上減少の傾向
公営ギャンブルと違い、店舗型のパチンコではインターネットを活用ができないため、巣ごもり生活が裏目に出た形となりました。
パチンコ利用者が、公営ギャンブルに移行した可能性も指摘されています。
監査人は、店内にいなければできないパチンコはコロナ禍では敬遠されるとし、「ギャンブルに魅力を感じる客層の一定数が、競輪へ移行した可能性は否定できない」と指摘する。
引用:産経新聞|活況の公営ギャンブル パチンコと明暗を分けた理由
ここからは、公営ギャンブルごとの売上推移と、売上が多い競技場をランキング形式で紹介します。
中央競馬の売上推移
中央競馬の売上は、年々上昇しています。これもネット投票が普及していることが大きな理由だと考えられます。
年度 | 売上 |
---|---|
2013 | 2兆4049億3351万3200円 |
2014 | 2兆4936億2772万9400円 |
2015 | 2兆5833億9186万9800円 |
2016 | 2兆6708億8026万1600円 |
2017 | 2兆7476億6248万4800円 |
2018 | 2兆7950億0830万4000円 |
2019 | 2兆8817億8866万1700円 |
2020 | 2兆9834億5587万2000円 |
2021 | 3兆0911億1202万5800円 |
2022 | 3兆2539億0707万6200円 |
2021年には3兆円の大台に乗り、その後も順調に増えています。これからも引き続き上昇していくのではないでしょうか。
※参考「JRA日本中央競馬会」https://jra.jp/company/about/outline/growth/pdf/g_22_01.pdf
中央競馬場の売上ランキング
中央競馬場は、競馬場ごとの売上は公開されていません。代わりにレースごとの売上が公開されていたので掲載します。
順位 | 競馬場 | 売上金額 |
---|---|---|
1 | 有馬記念 | 521億5504万6600円 |
2 | 東京優駿 (日本ダービー) | 291億4509万0700円 |
3 | 宝塚記念 | 222億6132万2000円 |
4 | 安田記念 | 222億2911万9400円 |
5 | 天皇賞(秋) | 221億5237万4100円 |
※参考「JRA日本中央競馬会」https://www.jra.go.jp/datafile/seiseki/
競艇の売上推移
競艇は、公営ギャンブルの中でも特に売上を伸ばしている競技です。もともと少しずつ売上は伸びていましたが、コロナ時期から大きく売上を伸ばしています。
年度 | 売上 |
---|---|
2013 | 9475億円 |
2014 | 9952億円 |
2015 | 1兆422億円 |
2016 | 1兆1111億円 |
2017 | 1兆2378億円 |
2018 | 1兆3727億円 |
2019 | 1兆5434億円 |
2020 | 2兆0951億円 |
2021 | 2兆3926億円 |
「競艇」から「ボートレース」に呼称を変えて定着させたことと、テレビCMを積極的に放送したことでイメージが変わり、新しい利用者層が増えたことが大きな要因と考えられます。
これからもこの勢いは止まることなく、盛り上がっていくことでしょう。
競艇場の売上ランキング
順位 | 競艇場 | 売上金額 |
---|---|---|
1 | 大村競艇場 (長崎県) | 1759億4913万6100円 |
2 | 住之江競艇場 (大阪府) | 1575億6249万5400円 |
3 | 蒲郡競艇場 (愛知県) | 1546億217万9700円 |
4 | 若松競艇場 (福岡県) | 1498億4144万2900円 |
5 | 丸亀競艇場 (香川県) | 1485億1732万7700円 |
※参考「一般社団法人 全国モーターボート競走施行者協議会」https://www.motorboatracing-association.jp/info/pdf/fy2021_jo_sales.pdf?
競輪の売上推移
競輪の売上はコロナを機に一気に上昇しました。
年度 | 売上 |
---|---|
2013 | 6063億1027万7800円 |
2014 | 6158億8102万9300円 |
2015 | 6308億0527万0900円 |
2016 | 6345億9821万4600円 |
2017 | 6400億0620万9000円 |
2018 | 6541億1712万5300円 |
2019 | 6604億6055万5100円 |
2020 | 7499億9019万6400円 |
2021 | 9646億1344万7100円 |
2022 | 1兆907億7929万200円 |
いくつかの競輪場が閉鎖となってしまったものの、ミッドナイト競輪やガールズケイリンなど新しい取り組みが成功しました。
また、巣ごもり需要とネット投票との相性もよく、自宅にいながらも楽しめるギャンブルとして浸透していきました。
2022年には1兆円の大台にも乗り、これからもこの好調は続くと予想されます。
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競輪場の売上ランキング
順位 | 競輪場 | 売上金額 |
---|---|---|
1 | 小倉競輪場(福岡県) | 478億9254万8300円 |
2 | 平塚競輪場(神奈川県) | 345億4472万3000円 |
3 | 岸和田競輪場(大阪府) | 331億9869万5800円 |
4 | 西武園競輪場(埼玉県) | 331億9578万8100円 |
5 | 青森競輪場(青森県) | 324億6336万7700円 |
※参考「公益財団法人JKA」https://www.keirin-autorace.or.jp/documents/www/public/koho_keirin/2023/keirin_180.pdf
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地方競馬の売上推移
地方競馬の売上は年々上昇し、コロナをきっかけにさらに伸び続けています。
年度 | 売上 |
---|---|
2013 | 3353億3044万1500円 |
2014 | 3879億0639万5590円 |
2015 | 4310億2738万3030円 |
2016 | 4870億0119万5900円 |
2017 | 5525億3925万6190円 |
2018 | 5620億1059万9380円 |
2019 | 7009億7169万1780円 |
2020 | 9122億8711万0460円 |
2021 | 9776億9378万8940円 |
2022 | 1兆0703億5968万3860円 |
競馬場での馬券購入から、ネット購入に移行したことで若者の新規競馬ファンが増えてきたようです。
2022年には1兆円の大台に乗り、今後もこの好調は続くと予想されます。
地方競馬場の売上ランキング
順位 | 競馬場 | 売上金額 |
---|---|---|
1 | 大井競馬場(東京都) | 1954億5723万6170円 |
2 | 川崎競馬場(神奈川県) | 1063億2790万5000円 |
3 | 園田競馬場(兵庫県) | 1012億7065万4500円 |
4 | 船橋競馬場(千葉県) | 947億3960万7600円 |
5 | 高知競馬場(高知県) | 946億0806万1600円 |
※参考「地方競馬情報サイト」https://www.keiba.go.jp/association/past_records.html
地方競馬の売上はどこが一番高いのでしょうか。本記事では、地方競馬場ごとの売上をランキング形式でまとめました。 地方競馬の売上ランキング 令和4年度(2022年度)の地方競馬場の総売得金をランキング形式で紹介していきます[…]
オートレースの売上推移
オートレースの売上は、コロナをきっかけに大きく上昇しました。
年度 | 売上 |
---|---|
2013 | 687億5432万8300円 |
2014 | 668億1833万5100円 |
2015 | 678億4959万4800円 |
2016 | 654億1626万6300円 |
2017 | 659億5313万2000円 |
2018 | 704億4768万7200円 |
2019 | 738億9166万6800円 |
2020 | 946億4554万0800円 |
2021 | 1032億9495万2700円 |
2022 | 1075億4718万7700円 |
コロナまでは、売上の変動は大きくなかったのですが、ステイホームの時期から大きく売上を伸ばしてきました。
時間と場所を選ばず車券を購入できるネット投票の普及や、ミッドナイトレースの普及により売上が上昇したようです。
今後も好調が続くと予想されますが、2013年から2017年はしばらく停滞していたので、売上が落ち着く時期が来るかもしれません。動向はチェックしておきましょう。
オートレース場の売上ランキング
公開されている情報はありませんでした。
パチンコの売上推移
パチンコの売上はどんどん衰退してしまっています。コロナの影響も受けていますが、それ以前から年々売上は減少しています。
年度 | 売上 |
---|---|
2013 | 4兆6693億9300万円 |
2014 | 4兆4560億8000万円 |
2015 | 4兆1957億6800万円 |
2016 | 3兆7258億4500万円 |
2017 | 3兆5887億6900万円 |
2018 | 3兆4896億8300万円 |
2019 | 3兆4191億4600万円 |
2020 | 2兆5058億2800万円 |
2021 | 2兆4970億8200万円 |
2022 | 2兆5802億6500万円 |
理由としては、規制強化によって還元率が悪くなったり、館内全面禁煙といった、ユーザーが不満を抱く状況になってしまったことが考えられます。
また、競馬などの公営ギャンブルと違い、お店に行かないと楽しめないギャンブルなので、コロナの影響を大きく受けてしまいました。
2022年で若干回復していますが、多くのユーザーが公営ギャンブルなどに移行してしまっているので、今後の回復は難しいかもしれません。
宝くじの売上推移
宝くじの売上はだんだんと減少しています。コロナの影響を受けたというのではなく、それ以前から衰退しています。
年度 | 売上 |
---|---|
2012 | 9135億円 |
2013 | 9445億円 |
2014 | 9007億円 |
2015 | 9154億円 |
2016 | 8452億円 |
2017 | 7866億円 |
2018 | 8046億円 |
2019 | 7931億円 |
2020 | 8160億円 |
2021 | 8133億円 |
ネット販売やクレジットカード決済の対応の遅れによって、若者ファンが定着しなかったようです。
また、宝くじは還元率が低いこともあり、もっと当たりやすい他の公営ギャンブルに移行したユーザーもいるようです。
ただし、それでも多くの宝くじファンはいて、サマージャンボや年末ジャンボは当選を期待して購入する人も多いのではないでしょうか。
コロナ禍の巣ごもりのいい気晴らしとして購入する人も多く、徐々に売上は回復しているようです。
しかし、これからの売上額などの動向には注意が必要です。